「いのちを力いっぱい輝かせながら生きるということ」
今日は、兵庫県豊岡市で小学校の教員をなさっておられます。
西村徹先生のお話をご紹介させていただきます。
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私が教師になって初めて特別支援学級を
持たせてもらった時のことです。
その学級にA君という子がいて、
お母さんが毎日車で送り迎えされていました。
私はA君のお母さんに
「明日の放課後から
私がA君を家まで送ります。
歩くと身体も心も強くなって
脳へのいい刺激になると思いますよ」
と言って了承をいただきました。
翌日から私は
A君と一緒に歩いて下校し、
その後また学校に戻りました。
A君の家には足の悪いおばあちゃんがいて、
A君が帰るとおばあちゃんが
いつも奥の居間から
「ありがとうございます。
足が悪くて玄関まで出ていけずすみません」
とおっしゃっていました。
でも翌年には、家のドアを開けると
おばあちゃんが玄関まで
出てこられるようになりました。
3年経つ頃には玄関の前に出て、
立って待たれるようになりました。
さらにしばらくすると
おばあちゃんは家から数百メートルも
歩いたところまで
出迎えてくれるようになりました。
私は驚いてA君のお母さんに電話をしました。
「おばあちゃん、かなり歩かれていましたが、
大丈夫でしたか?」と。
するとA君のお母さんは
「Aが歩いて学校に通う様子を見ながら
おばあちゃんは
『あの子があんなに頑張っとる。私も歩かにゃあ』
って言っていました」
と話してくれました。
A君はうまく話せないので
おばあちゃんに「歩こう」と
言うことはできません。
でも、自分ができる最大限のことを
精一杯やることでそれを伝えたのです。
そして、おばあちゃんも
A君の頑張りに応えて
自分のいのちを輝かされました。
~みやざき中央新聞~11月27日発行より
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